2015年9月20日日曜日

FMとプレミアの戦術的遅れについて

ライカールトさんがCLで勝てないプレミアのチームについて以下のように書いていた。
「プレミアリーグのチームは良くも悪くも一様であることが多い。彼らが欧州で結果を出したのは、金銭的な成功による選手の質の向上、もともど備わっていた11人による素早いハードワークと攻守の切り替えがサッカーの進化の流れと重なったからである可能性が高い。いわゆる偶然の産物。」
らいかーると「プレミアリーグ以外のチームでの選手のスプリント化がすすみ、もともともっていた戦術の多様性があいまって、走れて戦術的に戦えるチームが出てきている。例えば、アトレチコ・マドリー対バルセロナのように試合中にシステムが変わり、それに対応するみたいな。これが一様な戦術のチームにはなかなか難しい。もちろん、選手を入れかえることで、一様でないようにチームを変化させることはできる。プレミアリーグのチームが欧州で結果を残すためには、アーセナルがときどき自陣に撤退するように相手を観てサッカーができるかどうかにかかっている、、、。、気がする。それでも選手の質は間違いないので、押し通せる気がしないでもないが。」ここより
何度も言うようにFMはイギリス人が作っているので、プレミア的な戦術の遅れがゲームにも見られる。

具体的には、選手の能力値に「戦術理解」みたいな項目がないし、CPU監督の戦術やフォメ選択がすごく適当だったりする。試合中に攻撃時(ボール保持時)と守備時のフォメを変える設定とかもできないし、攻撃のコンビネーションプレイとかも戦術自体として設定がなく、選手のひらめきにまかせている。セットプレイもほうり込み時点の設定しかなく、二手目三手目の設定がない。

なんでこんな文句を言うかというと、欧州では、というかプレミア以外の欧州トップリーグでは守備時にも攻撃時にも細かい戦術を使ってやっているからだ。ここで言う戦術とは「決まり事」のことだと考えるとわかりやすい。見方や敵のある動きに対して一連の動きを次々と行うこと、これが戦術だ。

たとえば、守備のときの決まり事とは、以下の様なものだ。


これを見ると、4-4のラインでの守り方というのが完全に決まっていることがわかる。欧州では、プレミアでもたとえばチェルシーなんかではこういう守備をしている。

これのキモは、アタックする人とほかの人との連動にある。アタックはつねに一人で、カバーするほかの残りはきちんとスライドする。これが4-4の守りの基本となっている。ところが、FMではこういう統率のとれた守備をしない。まあそれでも、Jの守備なんかよりはずっといい守備をFMの選手はするのだが。

もちろん、守備に関してはこれ以外にも様々な方法がある。プレミアではFMみたいな個々人の能力に頼る守り方をするし、レヴァークーゼンではとにかくアタックするという守り方をする。こういうの、FMでも守備の基本姿勢として設定できるといいのにな。

さて、攻撃についても、やはり決まりごとがある。これ、2000年代前半には世界中でまだまだ攻撃は選手のひらめきにまかされていたのだが、現代ではオートマチックな動きで攻めるというのが多くなっている。2002年と2014年のW杯決勝を見比べるとこの変化は一目瞭然だと思う。

2014年W杯でブラジルがドイツに負けたのは、ドイツの組織的な攻撃にひらめきを頼りにするブラジルの攻撃と守備が耐えられなかったからだ。たとえ選手の能力に差があったとしても、あのレベルであんなに大量な失点をするというのは、戦術に根本的な欠陥があったということだ。というより、ブラジル側に戦術の欠如があった、という方が正しい。

これ、Jでもブラジル人監督や選手が結果を残せなくなっていることとも関係するのだが、それについていい記事がBlog版蹴閑ガゼッタにあった。「ブラジル人選手、監督が結果を残せなくなった理由」これだ。ここでは、現代ではオートマチックに高速化された攻撃が標準となってきているのに対し、ブラジルではまだ選手のひらめきまかせのサッカーをしているし、教えている、ということが書かれている。
そこまで高度に戦術化されたサッカーの中では、個人のコンビネーションとかアイデア、判断力といった「自由」が介在する余地は極めて少なく、と言うかむしろ判断が介在すると間に合わないレベルにまでオートマティズムが徹底されていると言って良いでしょう
同じことを日本で行われた川崎VSドルトムントの試合を見ていても思った。ドルトムントの攻撃も守備もオートマチックなのに対し、川崎は守備も攻撃もいちいち考えているようで、しかもその判断がすべてハズレている、という感じだった。時差と移動で疲れているのはシーズン中の川崎かってほど。ドルと川崎では選手の差以上に、やっているサッカーの質の差があった。「サッカー脳が大人と子供ぐらいの差がある」とのBlog版蹴閑ガゼッタさんの言葉は本質をついている。

攻撃や守備に決まりごとがあるかどうか、ボールつなぎや動きで決められた動きをしていればうまくいく、そういうことを練習でやっているかどうか、それが川崎とドルの差であり、ブラジルとドイツの差であり、プレミアとブンデス/セリアとの差である(守備に関してはプレミアもそれほど遅れてないが)。Jは問題外。Jでは組織的な守備を指導する監督は嫌われて解任されるくらいだから、オートマチックな攻撃を教えるような監督は今後も出てこない。

攻撃の戦術はハンドボールやバスケで発達していて、サッカーもそれを取り入れている。例えばこういうの

こういう組織的な動きを全員がイメージして共有する。こういうのを練習に組み込んでいるかどうかが現代的なサッカーかどうかの分岐点なわけだ。

冒頭で選手に「戦術理解」の項目がいると書いたのは、上のようなことを踏まえてのことだった。FMには設定している戦術の熟練度はあるが、それはチームとしてのである。これに対して、選手ごとに戦術に沿った動きをするかしないか、という違いはあってもいい。しかしそれは、守備にも攻撃にも戦術が設定できるということが前提になるが。

とにかく、いまのFMに戦術の多様性がないのは、これを読むだけでも明白だろう。クラシックモードという簡単なモードがあるんだから、普通のモードはもっと複雑な戦術設定ができるようになってもいいのだが…

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