日本代表のお話。
念の為、ここまでの日本代表の戦績を見ておきたい。ほんとに見るだけだけど
今回のブラジル戦は相手はベスメンではなかったが、それは日本も同じだ。しかし、日本は控え組のレベルが高く、勝利できた。これ、地味にすごいことだ。ブラジル相手に選手層で上回っているのだから。
後半、マンマークでハイプレスを仕掛けられたのがこの試合の勝因だった。これは今後の日本の大きな武器になる。
今までのところ、日本代表は順調に進んでいる。監督の問題は実のところ、そこまで大きくない。監督が細かい指示を出さない分、選手たちがちゃんと考えるようになった。これ、正しい方向だと思う。たとえばメキシコはどの年代も試合運びがうまくて、日本は絶対勝てない相手だが、そのうまさが監督のおかげだとは思わない。選手たちの修正能力がずば抜けているのだと思う。日本も監督うんぬんではなくて、そういう選手たちを育てなければならない。
それに、代表監督には細かい戦術を落とし込む時間がない。これ、ジャーナリストたちが裏を取っている話だ。たとえば9月の遠征では、監督がこの代表を呼ぶのを久々だったということを忘れていて、基礎をやることを忘れていた。代表選手は呼ぶたびにリセットされていて、前できていたことができなくなっているので、毎回基礎かやらないといけないらしい。それを9月は忘れていたので、10月のパラグアイ戦の前に基礎練習しかできなくなったらしい。ということはだ、監督はより高度な戦術を落とし込みたがっているのだが、代表の活動期間ではそれはできない、ということなのだろう。
私はそもそも、代表で高度な戦術をやる必要はないと考えている。じつは以前、それをやって失敗した監督がいた。ザックである。あの時、選手を固定して戦術を落とし込んでいたが、その結果選手の入れ替えがなくなり、メンツが劣化して、本番ではぼろ負けした。ああいうのが起きるくらいなら、細かい戦術なんてやる必要はない。というか、ほかの代表みてもそういうのやってない。今回、鈴木淳之介を発見できたのも、細かい戦術の落とし込みをそんなにやっていないおかげと言えなくもない。
ポイチの問題はじつはそこではなくて、以前にも書いたが、0-0で漫然と過ごした試合のHTのときに修正ができないことにある。でもこれ、よく考えてみると、できる監督のほうが少ない。前回W杯で優勝したアルゼンチンでさえ、サウジアラビア戦HTで修正できなかった。ポイチは前半ビハインドのときに修正できてひっくり返せる分、だいたいの監督よりは優れていると言えなくもない。
どちらにせよ、戦術の問題なんて代表レベルでは細かいことで、それよりもちゃんといい選手が出ていて、成長していることのほうが大事だ。今回は守備は新しい選手が多かったのに結果を出した。逆にブラジルは、今回出ていたファブリシオブルーノなんて29歳のブラジルリーグの選手だ。こんな年齢で代表に初めて選ばれるというのもおかしい話だ。少なくても、日本はそこまで選手層が薄くない。
あと、ブラジルは1-7でドイツに負けたときにも思ったが、メンタル的に弱い。逆に日本は前半0-2でもメンタルが崩壊しなかった。逆にブラジルは一点返されただけでパニックになっていた。こういう、相手の弱点を目の当たりにすると、日本のそれはとても小さいものに思えるわけだ。
ブラジル戦後半に戦術を修正するきっかけを作ったのは選手たちだったらしい。これ、日本の選手が順調に成長していることの証拠だと思う。今回負けていてもやはり日本代表はすんごい伸びていると言えたと思う。ただ、逆転できたことを過小評価するつもりはない。そもそも、逆転というのは、相手よりよほど力量が上回っていないと起こり得ない現象だ。0-2からの逆転なんて、相手よりよほど力があるのに、たまたま運が悪くて二点取られた、くらいのときにしか起きない。サッカーにおいて一点目は偶然の結果であることが多いが、それ以降は実力差が反映されることが多いからだ。実際、私もFMをやっていて、0-2から逆転したという実績を解禁したのは1000試合目のときだったということがあった。それくらい、0-2からの逆転というのは珍しい。
森保監督の采配に関しては疑問に思うことも多々あるが、少なくても基本的な方針については間違っていないのではないか、というか、むしろ大正解なのではないか、ということを今回考えるようになった。昔から言われていることだが、教育の本質というのは、教えることではないからだ。