2022年3月26日土曜日

FMでめぐる紛争地域3 インドネシアパプア州(ニューギニア島)

いきなり問題です。世界で一番話者が多い語族は何でしょう? はい、答えはインド=ヨーロッパ語族です。世界のかなりの部分を占める語族ですね。世界史でやりましたね。


ちなみに、語族とは言語のグループのこと。インド=ヨーロッパ語族とかに関しては相当詳しく研究が進んでいるので、このグループはどれも歴史的に間違いなく元から分岐してきた仲間だというのがわかっている。しかし、ほかの言語に関してはけっこういい加減に分類されているのもある。どうも起源が定かではないけれど、とりあえず一緒のグループにしているのを「なになに諸語」と呼んだりもする。

では問題その2。その語族や諸語のなかで、最大の言語数を持つものはどれでしょう? 上の山川の地図にはじつは載っていない。答えは、人口600万ながら800の言語を持つパプア諸語である。ニューギニア島は複雑な地形で、その結果、部族同士の交流が近年までほとんどなく、言語が村単位で分化していたらしい。文化人類学とか齧っちゃってるインテリはクラ交易についても聞いたことがあると思う。今回は、そんな不思議なニューギニア島が話題。

じつはこのニューギニア島、紛争地帯でもある。なんとこの島、西と東でちょうど半分のところに線が入っていて、右がパプアニューギニア、左がインドネシアの一部パプア州である。左の部分はインドネシアが1963年に戦争でぶんどってそのままなのだ(パプア紛争)。独立運動なんかもあるらしい。

これ、さすがにFMには関係ないでしょ、と私もそんなことを思った時期がありました。しかし、FMにはいつからかインドネシアリーグがバニラでついているのを忘れていませんか? そう、パプア州のクラブもちゃんと収録されているのである。


2021シーズンのインドネシアリーグ1の所属クラブの地図。パプアからは唯一ジャプラヤにあるプルシプラが参加している。インドネシアでは、最大人口を擁する島であるジャワ島がサッカーの中心地のようだが、プルシプラも優勝経験があったり、ACLに出たこともある。なんと日本人選手、松永拓也もいる。しかし、インドネシアのクラブはプルシジャ、プルシブ、プルセパヤとプ音で始まるクラブが多すぎてまじでわけわからん。それだけでなく、略号でPSM、PSS、PSISというクラブもあって、Pのゲシュタルト崩壊が起きそうだ。


まあ、独立運動があるとは言え、今は平和だし、日本人もいるくらいだし、あんまり紛争っぽくね?と思った、そんな時期が私にもありました。じつはインドネシア代表は2022年W杯アジア予選からなんと除外されている。予選敗退とかではなく、FIFAから国際試合出場停止を命じられているのである。理由は、政府がリーグに口を出しすぎるから、ということらしい。理由は調べればわかることだけど、一人のオーナーが2つのクラブを同一リーグで持っているのを政府が問題視したのに対し、協会が反発したので、政府がリーグを停止させたのがFIFAに問題視されたらしい。うーん、これはどうだろうか。政府が正しい気がするけどね。

ちなみに、インドネシアサッカー代表はAFC所属なので、停止命令が解けたら日本と対戦することもあるかもしれない。FIFAランクは166位。

なお、パプアニューギニアの方にもサッカーリーグがある。パプアニューギニア・ナショナル・サッカーリーグと言うらしい。代表チームはオセアニアの方に加入しているので、日本と対戦することはない。FIFAランキングは164位なので、じつはインドネシアといい勝負かもしれない。

2022年3月25日金曜日

見えていなかったものが大事だとわかるとき FMの魅力とは

 今回は少し抽象的な話。

FMを初めたときってのは、よほどサッカーに詳しくない限り、はじめのうちはボールに関するプレイばかりを見ることになると思う。実際、ボールに直接関わるプレイは重要だし、そこで試合のほとんどが左右される。ミスなくプレイできたら必ず点が入るわけだから。

しかし、実際にはミスが必ず起こる。それを見ていくと、ミスが起こりやすい選手とか、ミスを生みやすいフォーメーションの組み合わせとか、戦術というのが見えてくる。そして、ミスをなくすように選手を入れ替えたり、戦術を組み直したりする。そうやって少しづつこのゲームのことがわかってくるし、同時にサッカーのことも(このゲームがシミュレートできている範囲で)少しづつ詳しくなっていく。

はじめはFWが大事だというのが見えてくる。FWが100パー点を取れれば必ず勝てるわけだしね。と同時にGKも超大事というのも見えてくる。GKが100パー防げば負けはしないものね。そのうち、DFも大事というのが見えてくる。DFが100パー相手を止めれれば……。中盤も大事だし、サイドの選手も大事というのがわかってくる。要するにピッチにいる選手すべて大事というのがわかってくる。攻撃も大事だし、守備も大事だとというのがわかってくる。選手の能力もそのすべてが大事なのがわかってくる。相手のフォーメーションごとに強いフォーメーションがあるのも私はわかった(そしてこのブログを書く動機になった)。こっちが押し込む試合のときはFWに電柱タイプがいいとか、カウンター狙いのときは足が速いのがいいとかそういう細かいこともわかってくる。

しかし、それもそのうち限界が見えてくる。なぜかわからないけれど勝てない、そんな試合がどうしても目につくようになる。試合をこなせばこなすほど、20試合やればそういう試合もある、という偶然でそれが起こるのではなく、明らかに自分に見えていない何かが原因で負けているということを認めなくてはいけなくなる瞬間が来る。そのときがこのゲームのキモだ。じつに不思議なことだが、ビデオゲームでそこまでの体験をすることがあるのだ。このFMに限っては。

そして再び頭を真っ白にして試合を見るようにすると、どうやらボールがないところの選手の動きや位置取りの質が試合の勝ち負けをけっこう左右するというのが見てくる。たとえば、攻撃時のポジショニングに限ってだけでも相当重要なのがわかってくる。スペースを消してしまう位置取りや動きをする選手と、そうでない選手はまったく活躍可能性が変わってくる。全体としての選手の配置や動き、連携の度合いによる距離感の違いなど、それまでどうでもよいものと思っていたものがじつはかなり重要だというのがわかってくる。いやそれどころか、まったく試合に関与しているように見えないものがじつは重要だということさえもある。そんなことありえないって? 存在しないものは存在しないって? いやいや、存在しているけど見えていないことってのはあるのですよ。

具体的に言うと、たとえばショートパス戦術の設定を組んで、それで何試合かうまくいく。ところが、突然ショートパス戦術が機能しなくなり勝てなくなる。FMではそんなことがよくある。ところが、その勝てなくなる原因はショートパス戦術自体にあるのではなく、その戦術に合ったフォーメーションをとっていないのが原因だったり、DFのパス能力が低いせいでうまくいっていなかったりするのだ。DFのパス能力が低いのは選手の質の問題なのだから、それがわからないのはおかしいとFM経験のない人なら思うかもしれない。しかしそうではないのだ。パス能力のないDFはそもそもパスを受け取りにいかないので、DFまでボールが戻らない。なので、それが原因で負けるゲームには直接関与しないのだ。

私はこのことに日記を書いていて気がついたことがあった。昔の記事だがこれだ。

プレミア5戦目 アウェイ リバプール 最終ラインのボール回し

つまり、この場合、見えていない原因が原因で負けているということになる。FMにはそういうことがある。そして、そのことに気づくのはとても難しい。

そういうのはサッカーやっていれば当然わかることだと思うだろうか? いや、そうは思わない。そのレベルでサッカーがわかるのは、同じようなレベルのチームと何度も試合をして、自分たちとそれほど技術レベルが違わない相手になぜか負け越すというような体験をしないと気が付けないようなことだと思う。指導者でもそんなことがわかる指導者というのはよほどの人だけではないだろうか。というのも、それが見えるようになるためには相当の試合を見るか、自分でする経験が必須だからだ。サッカー経験ということで言えば、自分や味方の技術レベルが一定以上ないとそもそもお話にならないわけだし、そのレベルをクリアしたうえでリーグ戦を相当程度戦わないと見えてこないようなことだろうから、プロを目指していた人くらいでないと難しいと思う。

何が言いたいかというと、サッカーを見るというのはじつに難しいということだ。何が原因で勝っているのか負けているのか、それを理解するのはとてもとても難しいことだ。実際、見えないことが原因で勝ち負けがつくこともあるのだから。であるので、それを解説できる人というのはすごいと思う。こんなのアタリマエのことかもしれないが、しかし、世の中には半端な知識でサッカーを理解した気になって、本職の監督やプロの選手をこき下ろす人もいるという。そういう人は、上で私が書いたような体験、つまり、なんで負けるのかわからない、というような体験をしたことがないのだと思う。サッカーの勝ち負けには「自分にはわかっていない原因」があるかもしれないということ、そういうことを実際に体験として持つというのはじつは貴重なことなのだ。そして、FMというゲームは、不思議なことに、それを体験させてくれるゲームなのである。

2022年3月24日木曜日

日本サッカーのある意味では確かな成長を感じた試合 W杯最終予選対オージー戦

 2022年サッカーワールドカップアジア最終予選のオージーアウェイ戦において日本は後半85分から2点を入れて2-0で勝利した。最初の1点目は現川崎と元川崎の三人の選手の息が見事にあった連携で崩しての得点で、2点目は三苫のセンセーショナルなゴールだった。どちらも素晴らしいゴールだった。

が、このゴールが入るまでの試合展開がとても素晴らしいものだったと思う。というのも、この試合、前半は攻めに急いでカウンターを食らったりとオープンな展開でひやひやしたのだが、後半は入りから落ち着いていてボールを急がずに保持して回して、最後の10分でとどめを刺すという、試合展開を読み切った戦い方だったからだ。

これまで、日本代表は大一番になればなるほど、試合展開を読めない無茶苦茶な攻め方をして、先制はしても最後は逆転されて負けるという試合が多かった。ドーハの悲劇のとき、2006年W杯の悪夢のオーストラリア戦、いつだったかのコンフェデのイタリア戦、そして2018年のW杯のベルギー戦、どれもいつ攻めるか、いつボールを保持するかの判断と意思統一ができなくて負けた試合だったと思う。

それが今回の試合では、前半こそいつもの悪いくセが出てバランスの取れていない変な試合をしていたが(この試合日本は引き分けでもOKだったのに)、後半は見事に修正してきて、最後に三苫で倒すという戦い方ができた。

じつは、オージーが後半バテるというのは事前情報として出ていた。

論客らいかーると×みぎの豪州徹底分析 「ガクッと落ちる75分以降はチャンス」

これね。

今回、たまたまこういう情報があったから「ハーフタイムで後半最後に仕留めよう」という指示が出せたのかもしれないが、それでもこれは大いなる第一歩だと思う。

細かいことを言うと、前半でGK権田のコーナーキックの判断ミスで相手ゴールになったように一瞬思えたところ(これはなぜか取り消されたが……なぜだろう)で、コーナーキックの練習をキーパーがしていなさそうな感じがあるところとか、よく言われる監督云々ではなくて選手個人の部分でたぶん絶対W杯では通用しないような気がしたのは悪い予感だが、それでも、日本代表が「試合展開を読む」という能力を手に入れたのかもしれないのはいいことだと思う。技術よりも得点力よりも何よりも、それが一番日本代表にかけていると思っていたことだったから。

2022年3月18日金曜日

「 FM2021で降格から救いたい5つのクラブ」ってどうなった?

ちょっと前の話で恐縮だが、以前、「FM2021で降格から救いたい5つのクラブ(シーズン開幕編)」というエントリーを書いた。

ラ・リーガ エルチェ

プレミリーグ ウェスト・ブロムウィッチ・アルビオンFC

ブンデスリーガ アルミニア・ビーレフェルト

セリエA スペツィア

リーグ・アン RCランス ReimsではなくLensの方ね

の5つのクラブを降格から救ってほしいというミッションを課したのだった。思い出していただけただろうか? さて、あれからもう一年以上が経ったのだが、現実ではこれらのクラブはどうなったのだろうか? 今更だが結果を振り返っておこうではないか。

まずはエルチェ。

PosTeamPldWDLGFGAGDPtsQualification or relegation
1Atlético Madrid (C)3826846725+4286Qualification for the Champions League group stage
2Real Madrid3825946728+3984
3Barcelona3824778538+4779
4Sevilla3824595333+2077
5Real Sociedad381711105938+2162Qualification for the Europa League group stage[b]
6Real Betis381710115050061
7Villarreal381513106044+1658Qualification for the Champions League group stage[c]
8Celta Vigo381411135557−253
9Granada38137184765−1846[d]
10Athletic Bilbao381113144642+446[d]
11Osasuna381111163748−1144[e]
12Cádiz381111163658−2244[e]
13Valencia381013155053−343
14Levante38914154657−1141
15Getafe38911182843−1538
16Alavés38911183657−2138
17Elche38812183455−2136
18Huesca (R)38713183453−1934Relegation to the Segunda División
19Valladolid (R)38516173457−2331
20Eibar (R)38612202952−2330

なんと残留に成功してる。17位。ぎりぎりのぎり。いやーすごい。


ウェスト・ブロムウィッチ・アルビオンFC

PosTeamPldWDLGFGAGDPtsQualification or relegation
1Manchester City (C)3827568332+5186Qualification for the Champions League group stage
2Manchester United38211167344+2974
3Liverpool3820996842+2669
4Chelsea38191095836+2267
5Leicester City38206126850+1866Qualification for the Europa League group stage[a]
6West Ham United38198116247+1565
7Tottenham Hotspur38188126845+2362Qualification for the Europa Conference League play-off round[b]
8Arsenal38187135539+1661
9Leeds United38185156254+859
10Everton38178134748−159
11Aston Villa38167155546+955
12Newcastle United38129174662−1645
13Wolverhampton Wanderers38129173652−1645
14Crystal Palace38128184166−2544
15Southampton38127194768−2143
16Brighton & Hove Albion38914154046−641
17Burnley38109193355−2239
18Fulham (R)38513202753−2628Relegation to the EFL Championship
19West Bromwich Albion (R)38511223576−4126
20Sheffield United (R)3872292063−4323

ここは降格。19位。


ブンデスリーガ アルミニア・ビーレフェルト
PosTeamPldWDLGFGAGDPtsQualification or relegation
1Bayern Munich (C)3424649944+5578Qualification to Champions League group stage
2RB Leipzig3419876032+2865
3Borussia Dortmund34204107546+2964
4VfL Wolfsburg34171076137+2461
5Eintracht Frankfurt34161266953+1660Qualification to Europa League group stage[a]
6Bayer Leverkusen341410105339+1452
7Union Berlin34121485043+750Qualification to Europa Conference League play-off round[a]
8Borussia Mönchengladbach341310116456+849
9VfB Stuttgart34129135655+145
10SC Freiburg34129135252045
111899 Hoffenheim341110135254−243
12Mainz 0534109153956−1739
13FC Augsburg34106183654−1836
14Hertha BSC34811154152−1135
15Arminia Bielefeld3498172652−2635
161. FC Köln (O)3489173460−2633Qualification to relegation play-offs
17Werder Bremen (R)34710173657−2131Relegation to 2. Bundesliga
18Schalke 04 (R)3437242586−6116
ここはぎりぎり残留。15位。堂安律はレンタル終了で元クラブに帰還済み。


セリエA スペツィア

PosTeamPldWDLGFGAGDPtsQualification or relegation
1Internazionale (C)3828738935+5491Qualification for the Champions League group stage
2Milan3824777441+3379
3Atalanta3823969047+4378[a]
4Juventus3823967738+3978[a]
5Napoli3824598641+4577Qualification for the Europa League group stage[b]
6Lazio38215126155+668
7Roma38188126858+1062Qualification for the Europa Conference League play-off[b]
8Sassuolo381711106456+862
9Sampdoria38157165254−252
10Hellas Verona381112154648−245
11Genoa381012164758−1142
12Bologna381011175165−1441
13Fiorentina38913164759−1240
14Udinese381010184258−1640
15Spezia38912175272−2039
16Cagliari38910194359−1637
17Torino38716155069−1937
18Benevento (R)38712194075−3533Relegation to Serie B
19Crotone (R)3865274592−4723
20Parma (R)38311243983−4420

ここも残留。15位なので上々の成績だった。


リーグ・アン RCランス Lens

PosTeamPldWDLGFGAGDPtsQualification or relegation
1Lille (C)38241136423+4183Qualification for the Champions League group stage
2Paris Saint-Germain3826488628+5882
3Monaco3824687642+3478Qualification for the Champions League third qualifying round
4Lyon38221068143+3876Qualification for the Europa League group stage[a]
5Marseille381612105447+760
6Rennes381610125240+1258Qualification for the Europa Conference League play-off round[a]
7Lens381512115554+157
8Montpellier381412126062−254
9Nice38157165053−352
10Metz381211154448−447
11Saint-Étienne381210164254−1246
12Bordeaux38136194256−1445
13Angers38128184058−1844
14Reims38915144250−842
15Strasbourg38119184958−942
16Lorient38119185068−1842
17Brest38118195066−1641
18Nantes (O)38913164755−840Qualification for the Relegation play-offs
19Nîmes (R)3898214071−3135Relegation to Ligue 2
20Dijon (R)3849252573−4821
ここも残留。というか、7位だった。一番の驚きだったと言えるでしょう。しかし、リーグアンは視聴も難しいし、情報も少ないので、何が起きていたのかもわからない。残念だ。

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