今回は少し抽象的な話。
FMを初めたときってのは、よほどサッカーに詳しくない限り、はじめのうちはボールに関するプレイばかりを見ることになると思う。実際、ボールに直接関わるプレイは重要だし、そこで試合のほとんどが左右される。ミスなくプレイできたら必ず点が入るわけだから。
しかし、実際にはミスが必ず起こる。それを見ていくと、ミスが起こりやすい選手とか、ミスを生みやすいフォーメーションの組み合わせとか、戦術というのが見えてくる。そして、ミスをなくすように選手を入れ替えたり、戦術を組み直したりする。そうやって少しづつこのゲームのことがわかってくるし、同時にサッカーのことも(このゲームがシミュレートできている範囲で)少しづつ詳しくなっていく。
はじめはFWが大事だというのが見えてくる。FWが100パー点を取れれば必ず勝てるわけだしね。と同時にGKも超大事というのも見えてくる。GKが100パー防げば負けはしないものね。そのうち、DFも大事というのが見えてくる。DFが100パー相手を止めれれば……。中盤も大事だし、サイドの選手も大事というのがわかってくる。要するにピッチにいる選手すべて大事というのがわかってくる。攻撃も大事だし、守備も大事だとというのがわかってくる。選手の能力もそのすべてが大事なのがわかってくる。相手のフォーメーションごとに強いフォーメーションがあるのも私はわかった(そしてこのブログを書く動機になった)。こっちが押し込む試合のときはFWに電柱タイプがいいとか、カウンター狙いのときは足が速いのがいいとかそういう細かいこともわかってくる。
しかし、それもそのうち限界が見えてくる。なぜかわからないけれど勝てない、そんな試合がどうしても目につくようになる。試合をこなせばこなすほど、20試合やればそういう試合もある、という偶然でそれが起こるのではなく、明らかに自分に見えていない何かが原因で負けているということを認めなくてはいけなくなる瞬間が来る。そのときがこのゲームのキモだ。じつに不思議なことだが、ビデオゲームでそこまでの体験をすることがあるのだ。このFMに限っては。
そして再び頭を真っ白にして試合を見るようにすると、どうやらボールがないところの選手の動きや位置取りの質が試合の勝ち負けをけっこう左右するというのが見てくる。たとえば、攻撃時のポジショニングに限ってだけでも相当重要なのがわかってくる。スペースを消してしまう位置取りや動きをする選手と、そうでない選手はまったく活躍可能性が変わってくる。全体としての選手の配置や動き、連携の度合いによる距離感の違いなど、それまでどうでもよいものと思っていたものがじつはかなり重要だというのがわかってくる。いやそれどころか、まったく試合に関与しているように見えないものがじつは重要だということさえもある。そんなことありえないって? 存在しないものは存在しないって? いやいや、存在しているけど見えていないことってのはあるのですよ。
具体的に言うと、たとえばショートパス戦術の設定を組んで、それで何試合かうまくいく。ところが、突然ショートパス戦術が機能しなくなり勝てなくなる。FMではそんなことがよくある。ところが、その勝てなくなる原因はショートパス戦術自体にあるのではなく、その戦術に合ったフォーメーションをとっていないのが原因だったり、DFのパス能力が低いせいでうまくいっていなかったりするのだ。DFのパス能力が低いのは選手の質の問題なのだから、それがわからないのはおかしいとFM経験のない人なら思うかもしれない。しかしそうではないのだ。パス能力のないDFはそもそもパスを受け取りにいかないので、DFまでボールが戻らない。なので、それが原因で負けるゲームには直接関与しないのだ。
私はこのことに日記を書いていて気がついたことがあった。昔の記事だがこれだ。
プレミア5戦目 アウェイ リバプール 最終ラインのボール回し
そういうのはサッカーやっていれば当然わかることだと思うだろうか? いや、そうは思わない。そのレベルでサッカーがわかるのは、同じようなレベルのチームと何度も試合をして、自分たちとそれほど技術レベルが違わない相手になぜか負け越すというような体験をしないと気が付けないようなことだと思う。指導者でもそんなことがわかる指導者というのはよほどの人だけではないだろうか。というのも、それが見えるようになるためには相当の試合を見るか、自分でする経験が必須だからだ。サッカー経験ということで言えば、自分や味方の技術レベルが一定以上ないとそもそもお話にならないわけだし、そのレベルをクリアしたうえでリーグ戦を相当程度戦わないと見えてこないようなことだろうから、プロを目指していた人くらいでないと難しいと思う。
何が言いたいかというと、サッカーを見るというのはじつに難しいということだ。何が原因で勝っているのか負けているのか、それを理解するのはとてもとても難しいことだ。実際、見えないことが原因で勝ち負けがつくこともあるのだから。であるので、それを解説できる人というのはすごいと思う。こんなのアタリマエのことかもしれないが、しかし、世の中には半端な知識でサッカーを理解した気になって、本職の監督やプロの選手をこき下ろす人もいるという。そういう人は、上で私が書いたような体験、つまり、なんで負けるのかわからない、というような体験をしたことがないのだと思う。サッカーの勝ち負けには「自分にはわかっていない原因」があるかもしれないということ、そういうことを実際に体験として持つというのはじつは貴重なことなのだ。そして、FMというゲームは、不思議なことに、それを体験させてくれるゲームなのである。
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