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2026年6月18日木曜日

オランダ戦の引き分けを受けて

 今までの森保監督は一体何だったんだ、と言うべきかもしれない。ほんとうに恐れ入った。日本オランダ戦のことね。


この動画で言われているのは、日本とオランダはどちらも守備時には5-3-1になるような形で守っていて、とくに日本は、まずシャドーの選手がオランダのDCとSBの両方をマークしていて、さらに相手の中央の選手に対してボランチの選手と一緒にブロックを組んで守っていた、という分析。いやシャドーの選手タスク多すぎ。これだけ難しいタスクを落とし込んで、相手の陣形に対応して戦かったのって今まであったっけ?

まあ、これはオランダが伝統的な4-3-3で攻めてくると想定していたから準備できたことで、前回のドイツみたいにちょっと分析が難しい相手には無理だったかもしれない(当時ドイツの可変式システムについて分析できていたのは日本のメディアの中ではDAZNだけだった)。それにしても、だ。

NHKで日本代表を特集した番組があって、そこで前回のアジアカップではわざと選手に指示を出さずに見守っていたという話があった。そのへんのことは、もうこの段階になるとたぶんそうだったんだろうなあと検討がついていたが、それにしても、ここまで入念に準備された戦術を用意できる監督だったとは。

思い起こせば、かなり前にレオザが「高校の監督みたい」と言っていた、選手の自主性に任せるあのやり方も、当時の日本人選手に足りないことを見抜いた上での監督の選択だったのかもしれない。まあ、間違いなくそうだろう。なんでかって言うと、メキシコ代表は世代問わずに試合中に選手が自主的に戦術を修正する能力を持っているが、それって監督の指示のはずがないんだよな。だって、どの年代でもどんな監督でもそれができるもの。メキシコでは育成年代から自分で考える指導がなされているとしか思えない。以前から日本人には自主性がないと言われていたし、わたしも試合を見ていてそうだと思っていた。だが、今の代表はそこんとこ克服できている。これはすごいことだ。

サッカーの指導ってのは段階ごとに矛盾したことを言わないといけないという難しさがある。最初は自我を出すのが重要。オレがこうやるからお前はこうやれという主張をするのがまずは第一歩。その上で、それをするのに必要な連携を鍛える必要が出てくる。これ、日本の指導者は順序逆にしがちなんだよな。まずは連携だーみたいに教えがち。そして中身のないサッカーを指導してしまう。

で、自我が出せて数名の選手と連携できたら、その上で全体の意思疎通が重要になってくる。その時々に応じてゲームプランを持って、それを全体で共有して、その上で自分がどう動くかを考えて動く。ここまでくると、私にはもう絶対できない自信がある。だが、今の日本代表はそれができている。そしてそれは特別なことで、ほかの代表を見てもそんなことができるチームはほとんどない。結局は個人技で勝っているだけ。

1自分の主張→2連携→3全体の意思共有&微調整 という順序。これ教えるの逆にすると絶対失敗する。で、森保監督は1のところから始めた。いや、それどれだけ時間かかるんだよ、というやり方。いや、そんなことは代表に選ばれる選手だからできていたんじゃねーのか、と言うと、たぶん普段自分のクラブではできているのだが、代表ではそうではなかったのだと思う。なんというか、借りてきた猫状態。で、それができていた選手は1の段階の指導で不満を漏らしたりもした。守田とか。

2の連携のところのEXなパートが前からのプレスだ。これは守備時の連携が取れていないとできない。これも日本代表はいつからかできるようになった。最初のうちはこれを全然しないので、レオザが散々文句を言っていた。たぶん二期目のアジアカップの時だった。つまり、前プレできるようになったのはその後。

で、いま3の全体の意思共有&微調整ができている。オランダ戦では、わたしはさきの動画で見た細かい戦術的な動きよりも、選手個々が全体のゲームプランを共有して動いていることにより日本代表の恐ろしさを見た。「前半は守備的に、ブロック守備で行こう。後半は点取られたからより流動的に行こう。2-2になった後も無理に攻めずに勝ち点1でいいよ」、という意思共有。これ、最後もっと攻めることができただろ、とわたしも見ていて思ったが、同時に、選手全体で意思が共有されてそれが個々に実行されていることにも感動した。今回は3位まで突破できるしこの試合は引き分けでいいだろ、という考えがみんなで共有できてそこに自分の役割を見出したうえで動けた、そこに代表の成熟を見た。2014年のときとは明らかに違う。落ち着いていて、無理をしないこの感じ。

緒戦から全力でいかないといけない、という時代はもう終わっている。以前は代表に自信がないので緒戦で絶対に勝たなくてはならなかった。でも、今はそうではない。ポステコグルーなんかは、日本はもっとできたはずと言っているが、選手もそう思っているだろう。だが無理はしなかった。今回優勝候補のスペイン代表なんか見てみてほしい。カーポベルデ相手にちんたらやって引き分けてるんだぞ。余裕のあるチームはそれくらいでないといけない。

毎回日本代表がトーナメントに入った途端に力を落として負けてきたのは、精神的な疲労があったのだと思う。2002年の時は監督が考えるのを放棄していて、トルコ相手に何もできずに負けた。2010年なんか相手はパラグアイだった。PK戦で負け。2018のときはベルギー相手に二点リードした状態で守りに徹しきれなかったが、これは西野監督がTVの番組で自分のミスと認めている。やはり監督にも疲れがあったのだと思う。前半は力が入っていたが、予想外の状況に対応できずに自滅した感じ。2022年、前回の時は監督も選手も精神的に摩耗していて、グヴァルディオルがことごとくはねのけていた伊東からの突破にこだわって負けた。これ、個々の力とかの問題じゃあない。GL突破するのに全力出しすぎていて以降はもう無理状態になっていたのだと思う。

W杯は一試合ごとにとても疲れるのだと言う。一つのプレーの重みがとてつもないので、勝っても負けても精神的な疲労が蓄積されるのだと思う。そういう意味では、二戦目にターンオーバーするのは間違いだ。前回のフランスのように、二戦目まででGL突破を決めて、三戦目で主力を休ませるべきだ。なぜなら、次のトーナメントではより厳しい相手が待っているからだ。

今回は二戦目がチュニジア相手なのだから、先制できたら以降は引いて守ってカウンターという省エネ戦術でよい。主力出して、セーブしながらでも勝てるような相手で、それがGL突破王道のプランだ。もちろん先制されたら全力で勝たないといけないので疲れるが、それでもちゃんと勝てれば三戦目は休むことができる。

今回、GL一位ならトーナメントはモロッコ、二位ならブラジル、三位ならフランスみたいな話だが、必ずしもそのとおりになるわけではないし、必ずしもブラジル回避しなければならないわけではない。フランスは絶対回避するべきだが。三戦目に主力出して全力でやるよりも、ちゃんと休んで次で勝つほうが大事だ。一番やっちゃいけないのが、チュニジア相手にターンオーバーして負けて三戦目に全力しないといけないパターンだ。つまり前回と同じのやつ。まあ、今回は前回の教訓があるので、そこは大丈夫だろう。つまり、モロッコかブラジル。ここに回復した主力で全力で戦うことができることがもうほぼ確定している。これは楽しみだ。え? スウェーデンと日本が勝ち点4で並んだ場合、得失点差で日本が三位になるかもって? まあ、相手が誰でも今からきちんと準備して戦うことが大事だって話。

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