ではさっそく、比較対象として、昔のFM13のデータを見てみよう。これは、過去の記事から取ってきたものだ。
35試合にあったゴールのうち、コーナーからが11、パスからが27、クロスが8、相手のミスからが1。相手チームのゴールも含めて考えると、20%がクロスからの得点となっている。
そしてこちらがFM16のデータ。
50試合にあったゴールのうち、相手チームのゴールも含めて見ると、コーナーからが14、フリーキックからが14、パスからが9、クロスが53、ロングボールが1、相手のミスからが9。スルーボールが41。合計141ゴールのうち、クロスが53なので、37%がクロスからの得点となっている。
FM13と16では項目の数が増えているし、データのとり方自体も変化している。例えば、相手のミスとされる得点がFM16で増えているのは、ミスとされるプレイのとり方が変わっているからだろう。とはいえ、比較データとしては十分だろう。
データからは、FM16では過去のFMとくらべて20%弱クロスからの得点が増えた、といえる。こういう細かい変化に気づくことができるFMプレイヤーはすごい。意識しないで見ていると、特にクロスからの得点が異様に増えたという感じはしない。というのも、どのゴールも自然な流れから生まれているからだ。
これはむしろ良い変化だ。というのも、FM13の時点では、クロスからの得点が極端に少なかったという体感をしている。当時の一文がこれだ「FM2013では、サイドのクロスから頭で合わせて得点、というのがほとんどないので、サイドからの攻撃はまったく意味が無いのではないか」。これがFM16になってようやく解消された。得点パターンが増えて、クロスからの得点が増えた。そういうことである。
では、なぜクロスからの得点が増えたのか。
これは、FM2016でのマッチエンジンの大きな変化が関係している。16以前と16以降では、守備の動きやポジショニングが大きく違う。知っている限り、FMのマッチエンジンにこれほどの変化が加えられたのは初めてだ。それくらい、今回の変化は大きく、詳細に検証する必要がある。
変化はいくつかあるので、順番に見ていくことにしよう。
1. SBが中に絞るようになった。
まず、昔のFMの画像を見てみよう。
FM13の4バックの守備。守備が白な。注目すべきはSBのいち取りだ。外側に大きく開いている。そのせいで間に走り込んでいる黄色のMonteroがフリーになっていて、パスを通される。
FM16の画像。4バックで守っているDFラインの距離感に注目してほしい。FM13ではSBが大きく外に開いていたのだが、16ではほぼ等距離に並んでおり、中央に寄っている。
上とほぼ似たような場面。FWの選手が右ウィングの選手にパスを出す所。守備側の黄色のSBが中に絞っているせいで、裏から抜けようとする白の選手をまったく見ていない。
右ウィングの出したクロスは左ウィングの選手に渡り、ゴールとなる。
これ、FM2016でよくある得点シーンだと思う。
でも、なぜ右ウィング→左ウィングへのクロスが通ってゴールになるのか。
もう一度さっきの画像の一枚目を見てみよう。
ウィングの選手が2人とも敵SBの裏側を取っている。この時点で黄色側にしてみればすでに詰みだ。
要するに、SBが以前のFMではマンマーク気味だったのが、2016からはゾーンで中央寄りに守っているので、ボールを持っていないサイドの選手をケアしなくなった。このせいで、サイドがガバガバになり、裏を取られるのである。
これが一番大きな変更点だ。
ところで、FM2016では遅攻でも十分に得点するのだが、その理由も上の画像からわかる。上の画像は、両ウィングが上がりきっている状態だ。つまり、カウンターではなく、ゆっくりと攻め上がっている。その状態からでも、パス一発で裏に抜けられるわけだ。これ、この形を作れば必ず得点できるというのものだ。
2016ではFW置かずにAMC2枚とかでもいいかもしれない。点もアシストもウィングの選手がしてくれる。
ちなみに、3バッグのときは以前と変わらない。
FM16の画像。3バックで守っている青のDFラインの距離感に注目してほしい。
FM13の画像。3バックで守っている赤のDFラインの距離感に注目してほしい。16とほとんど同じだ。
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2. サイドハーフの選手も中に絞る守備をするようになった。
FM2016では中盤の選手の位置取りも前と違う。
白が守備。青のパスが逆サイドでフリーになっている青MRに向かっている。その青MRをマークするべきはずの白ML(名前が表示されている選手)は中央にいる。この位置取りは以前のFMにはなかった。
FM13の画像を見てみよう。
これ、ボールを持っているクアドラードについている赤じゃなくて、反対側の赤(ウィングの選手)を見てほしい。ちゃんと青のウィングをマークしているのがわかる。
赤の、扇形に広がったようなポジショニングはFM2016では絶対に見られない。
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3.DCのポジショニングが違う
検証
FM13の画像。ネイマールのパスを受けたメッシがDC2人のちょうど真ん中を抜いている。これ、特にFM13あたりでよく見られた。DC2人の位置取りが敵の位置をまったく考慮していないので、間に入られるパターン。
FM16の画像。赤の最終ラインに注目してほしい。赤のDCRが白のワントップの位置にちょうどいる。赤のほかのDFは、敵をマークしているそのDCRと、ボールを持っているMakelaの位置に応じてポジショニングしている。
今度はFM16でスリーバックで守っている場面。白のDFライン見ると以前のFMと同じように敵のFWをフリーにさせているが…
次の場面を見ると、FWの位置に合わせて白の選手がポジションを修正してきているのが見える。まあ結局、そのFWにパスが通ってこのあと失点するんだけどね。
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まとめ
というわけで、以前のFMとの変更点は3つある。
1. SBが中に絞るようになった。
2. サイドハーフの選手も中に絞る守備をするようになった。
3. DCが相手の位置に合わせてポジショニングをするようになった。
ご理解いただけただろうか。
特に1と2が大きな変更点だ。以前のFMとくらべて、サイドの選手たちが中央への守備意識を持つようになった。サイドからの攻撃が有効なのは、DFが中に絞る動きをするので結果的にサイドが開くから、というわけだ。
要するに、サイドからのクロスが決まりまくる、というのは、中央の守備が固められた上でのネガティブな結果とでも言うべきものだ。その原因は、何度も言うが、サイドの選手が中央寄りの守備をするようになったから、ということだ。
これ、サイドの選手にマンマークをつけてもきっと解決しない。2016の守備陣はスキあらば中に絞ろうとするので、マークが外れがちになる。結果、3バッグは全くといいっていいほど機能しなくなった。
しかし、AMCによる中央突破が無効になったわけではない。一番初めに出したデータでも、スルーパスによる得点もちゃんと2016にはある。実際、AMCの選手も多くアシストする。ただし、以前のFMとくらべて要求される能力値は上がっているとは思う。
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おまけ
中に絞るという動きはまあ基本ではあるので、それがようやくFMに取り入れられたのは喜ばしいことである。
しかし、FMの選手の守備時の動きがリアルでも標準的なものかというと、そうではない。
リアルのサッカーをゲームで再現するのはまだまだ先のようだ。
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